日常生活で、座ったり立ったりといった動作は何度も繰り返していますが、ほとんど意識することはないと思います。
あまりにもそのやり方に慣れ親しんでいるので、さてあなたは普段どうやって座っているでしょう?と言われても、ピンと来ない方が多いと思います。
こういった日常の動作を意識的にやる、というのがアレクサンダーテクニークのワークのひとつです。
意識的にやることによって、自分が知らずに積み上げて来てしまった習慣的な動きのパターンを、もっと身体のデザインに沿った動きに変えていく事が出来るようになっていきます。
前回の記事https://nikonikoalex.com/entry/2021/03/03/180331で書いた、色んなイスに座って演奏するという実験を、先日レッスンの時に、新たな気持ちでやってみる機会がありました。
演奏する前にまず、座るとは?立つとは?歩くとは?
歩くにしても「歩こう!」と思う意欲が邪魔をして歩けない!
座るにしても「座ろう」とする意欲、「座る」という事に対する刺激が邪魔をして座れない!
「楽器を演奏する」というような刺激の強いアクティビティをいきなりやると、いつものパターンを抑制する事が出来ないから、アレクサンダーはイスから立ったり座ったり、というようなシンプルなワークを繰り返しやったそうです。
自分でやってみて、本当に刺激が強いわ〜💥と納得。
果たして私はこのレッスンの間に、やりたいアクティビティまで到達出来るのか不安になって来ました…(笑)💦
ここでアレクサンダーの先生は、私の持っている常識を打ち壊すような身体の使い方を手によって教えてくれます。これをハンズオンと言います。
傍から見ていると、教師がそんな大きな変化を与えているようには見えないのですが、手を置かれている方は、それはもう革命的な変化がある訳なのです。
今までやったことのないことをやるわけですから、変な感じがします。「え〜?本当にこんな事があり得るの?」と否定したくなるのですが、その変な感じこそが変化への第一歩なのです。
今まで思ってもみなかった方向に行かなければ、人間は変化することは出来ないのですね。
アレクサンダーの先生に手助けしていただくと、自分一人では到達出来なかった世界に急に到達することが出来たりします。
でも、それを自分一人で出来るようになるには練習が必要です。また、教師の助けを得て到達出来た時の「感覚」を頼りにしていては、いつまで経っても出来るようにはなりません。そこへ至るまでの「考え」の方を磨く必要があるのです。
レッスンの中で教師の助けを得て、どうにか自分自身を整え、椅子の実験に挑んだレポートです↓
【イスの実験】
①座面が高くて、つま先立ちにならないと座れないようなイス→二胡の位置や角度がいつもと違うので、最初は左足を膝から胴に引き寄せるようにしてバランスを取った。どんなに座りにくくても、頭が上に行き続ける事をまず思うこと。それに自分の全身がついて来ること。それのみならず、音を出す時に自分が広がり続けると思って演奏すること←これはパワーを出すのに大変助けになった。腕や手首のような小手先でパワーを作るのではなく、全身を使うということに繋がったから。
そんな事をしている内に、左足を立てておかなくても、演奏出来るようになって行った。
「自分が広がる」と思うだけで特定の場所で頑張らなくても面白いようにパワーが出る。
②バランスボールを固定してイスにした物→これは座りに行く時に恐怖心があった。フニャフニャして、上手く支えてくれないんじゃないかという不安。
①②どちらのイスに座るときもやっていた事は膝が前へ行き続ける事と、お尻も前へ行く事、座ってもその姿勢に収まるのではなく、動き続けられる体勢で居続けること。
②のイスは、座った後も脚の筋肉を使い続けていないとバランスを取ることが難しかった。
弾き始めると、固定されていない分、骨盤や脚は動かしやすかった。先生が、さらに骨盤や脚を動かしに来て、座っていられない程バランスを崩したように感じたが、不思議な事に、その事によって自分で思っていた程には演奏自体は乱れていなかったらしい。
【実験の結果わかった事】
・座りにくいと思うようなイスでも、身体の使い方によっては、パワーを発揮する方法はある。
・自分で思っている以上に、こんなところまで〜?というくらい自分の常識を打ち破ってやらないと本当に望むような変化は起こせない。
結局、自分の使い方さえ上手く出来ていれば、どんな椅子だろうと演奏出来るという事ですね…。