ニコ二胡アレクサンダー

中国民族楽器の二胡にハマって学びを深めるうちに知った、アレクサンダー・テクニークについての探求の日々

安定感とは?

f:id:nikoniko-alexander:20210511180254j:plain実験だと思ってやってみていただきたい事があります。
まず立った状態で、出来るだけじっと立っていようとしてみて下さい。

「じっとしなければ…」と思うだけでプレッシャーに感じる方もおられるかも知れませんが、その場合にはそのプレッシャーに対する自分の反応を味わってみて下さいね。

さて、じっとしていると思っているその中に、わずかな動きが感じられるでしょうか?
それは足の上でバランスを取ろうとする動きかも知れないし、呼吸によって横隔膜や肋骨が動いている動きかも知れません。

それらの微細な動きに気が付いたら、今度はそのわずかな動きを少しずつ強調するように、動きの幅を増やして行きましょう。そしてどんどん動きを大きくして行って、もしもっと動きたい欲求があれば、同じ所に留まらずにどんどん動いてみましょう。
大きく身体を動かしてみながら、例えば腕を伸ばした時に、腕以外の他の部分でどんな風に身体全体のバランスを取っているのかに意識を向けてみましょう。

あるいは右脚を前に出した時、左脚や他の部分は何をしているでしょう。

そして今まで意識を向けた事のない部分に意識を向けながら気持ち良く動く事が出来たら、今度はその動きを徐々に小さな動きにして行きます。

小さく小さくして行って、最後にはまた元の両足を床につけて立っている状態に戻って行きます。

戻って来た状態は、これらの動きをやる前とはどこか違っているでしょうか?

じっと立っているという状態の中に、前よりも小さな動きを感じる事が出来るでしょうか?

足が床へ接地している感覚は以前と変わりましたか?

今まで意識にあげて来なかったような、微細な動きに注意が向きやすくなっている自分に気が付くかも知れません。

今皆さまに体験していただいた、この動きと気付きの練習は、イギリス在住のアレクサンダーテクニーク教師であるルシア・ウォーカー先生に教えていただいたものです。ルシアは立っている時に調整しているような微細な動きの事を「Micro Dancing」(マイクロ ダンシング)と呼んでおられます。
私は教わった事を自分なりに取り入れてやっているので、ルシアが教えて下さったのと全く同じではないかも知れませんが、これは普段の動きに意識的になるには、とても良い練習だと思います。

この気付きはまた、楽器の演奏をする時にも活かせる事です。

例えば、楽器を構える上での「安定」とは何なのか。

特に楽器を演奏していると、身体では同時に色んな事をやらなくてはならないので、楽器そのものは出来るだけ安定させたいと思うのは自然な事だと思います。

ただ、「安定=固定する事」だと思っていると、二胡の場合だと上から楽器を押さえつけたり、逆に楽器の下にある自分の左脚に力を入れたり膝を上に上げたりして、楽器をじっとさせようとしたりしがちです。

そうすると何が起こるかというと、逆に安定から遠ざかってしまう上に、必要以上に押さえ込むことによって音色も悪くなってしまいます。
特定の場所に力を入れて「ギュッと固めてしまう」ために、全身が連動して動きにくくなってしまいます。

これからは、「安定=動ける事」だと思ってやってみませんか?
「どんな変化があるかな?」という好奇心を持って…。