先日、二胡のレッスンをしていた時のこと。
ある生徒さんが、ポジション移動の時に手が上下に滑りにくそうにされているのに気が付きました。滑りにくいからポジション移動の瞬間に毎回余分な力が入り、その結果、より一層滑りにくくなっているようでした。
そこで、ポジション移動のために左手を上下させる時の動きを、生徒さんと一緒に一つずつ再確認してみました。
①親指をゆるめる(親指つけ根の関節から外側へと動かす動き)
②人差し指のつけ根の関節(中手指節関節)の辺りに竿の重さが乗る
③②の場所で手を下あるいは上へとスライドさせる(手首がほんの少しその動きをリードする)
すると、生徒さん:「あ〜、向こう側へ竿の重さを乗せても二胡は、倒れて行かないんですね!」
よくお話を聞いていると、これまで何となく「離したら落ちちゃう」ような気がして、親指と人差し指の両方で、挟み込むように力を掛けていたという事でした。
これまでの認識が変わる体験をされてから、もう一度ポジション移動にチャレンジされたら、今度は必要な力だけでスーッと滑らせることが出来るようになりました。
この生徒さんとも、ポジション移動を学ぶ時点で、一つ一つの動きを確認しながらやっていたとは思うのですが、本当に必要な力の加減を伝えるというのは、なかなか難しい事です。見た目だけでは伝わりにくい部分でもあります。
また、同じ内容を伝えているつもりでも、その時の生徒さんの状態によっても受け取れる情報は変化します。生徒さんが何を考えてそうしておられるのか、という情報集めの過程もとても大切です。
何度も何度も、あらゆる角度から伝えていく工夫が、教師の方には必要ですね。
そこでアレクサンダー氏の発見をどのように使えるか考える事が、私にとっては大きな助けになっています。
「具体的で実行可能な指示」を自分の身体に送ることが出来るようになれば、確実に上達して行く事が出来るようになるのです。