楽器の練習をしていると、どんどん部分的な事が気になって来る事がありませんか?
私はどうやらそっち派で、やりこめばやり込むほど、「曲のここの部分が気になる〜」となって、そうして部分を見ようとすればするほど、身体全体が無意識にキューっと縮まって行きます。
もちろん練習の過程では、曲の中で部分的な所を丁寧に見ていかなくてはいけない時もあります。でも、部分的な事を見ているからといって、身体まで縮まる必要はないのですね。
楽譜を見ている眼についても使い方を考えて使うことは出来ます。
「見る」というと、眼で見ていると思いますよね。つまり顔の前面にある眼そのものが、見ていると思いがちですが、実は眼は光が入って来る場所であり、実際に像として認識しているのは脳の後ろの方なのです。試しに、頭の後ろの方で物を見る、と思ってみてください。眼に対する負担が減るような気がしませんか?
物を見るために頭を動かす時には以前ご紹介した頭と首の間の関節(この部分をAOジョイントと言います)の所から動くと思って動かしてみましょう。
過去の記事:「頭はどこから?」
https://nikonikoalex.com/entry/2021/03/08/220029
身体の部分でどこか気になる所がある時、例えば、速いパッセージを弾く時に左手の薬指の動きが悪いなと思う時。(薬指が独立して動かしにくいのには理由があるのですが、それについてはまた別の機会に…)
こういった場面でも、その部分が気になりだすと、そこばかり見てしまいがちです。
そこへ意識が集中すると益々ぎこちない動きになってしまいます。
そんな時は、自分の軸の部分で何をやっているかに目を向けてみると、改善や解決の糸口が見つかる事が多いです。
ここで言う軸とは身体の中心となる部分で、頭と脊椎を中心とした、いわゆる頭と胴体の部分の事です。軸骨格と呼ばれる部分には肋骨も含みます。
この図の中で、ピンク色に塗られている所が軸骨格です。
腕〜手、脚〜足は構造上、軸となる頭〜脊椎からぶら下がっているので、軸の影響を受けます。
指先の動きが気になる時でも、頭と脊椎で何をやっているかな?ともっと自分の中心の方へ意識を向けると、それだけでも先の方の動きが良くなったりします。
そのくらい、頭と脊椎で何をやっているかが身体全体に影響を与えています。しかも身体の先の方で行う繊細な動きほど、軸からの影響を大きく受けやすいのです。
文中で引用した図は
Wynn Kapit / Lawrence M. Elson著
"The Anatomy Coloring Book" 第3版より