前回は演奏に使う椅子について書きました。
https://nikonikoalex.com/entry/2021/03/02/235051
ここで疑問が生じる訳ですが、自分のレッスン室のイスにはこだわれますが、もし演奏会場で用意されているイスが、座りにくい形のもので、それでも演奏しなければならない場合にはどうすれば良いのでしょうか?
以前、アレクサンダー・テクニークのレッスンで、あらゆる形のイスに座りながら演奏する、というワークをしていただいた事がありました。
例えば座面の前の方が高くなっていて、骨盤が後ろへ倒れてしまうようなイス。これは、普通に座ると上半身がズルズルと後ろへ倒れて行ってしまうので、座る位置、つまり坐骨を置く位置を出来るだけ前寄りに置くよう工夫すると、演奏するのに適した状態に自分を持って行く事が出来ました。
床に足が届かないようなイス。
これは足で体重が支えられないので、上半身の脊椎と骨盤との関係性が上手く行っているかが鍵となります。
座ると沈み込んでしまうイスや、床に直接座って弾く、というのもやったと思います。これもどこに体重が落ちるのか、膝などの関節が痛くないやり方など、工夫が必要ですが、演奏が出来ないということはありませんでした。
色々なパターンを試してみて見えて来たのは、「何さえあれば、演奏出来るのか」という一番シンプルな部分。
どのようなイスに座るにしても、部分的な事をどうするか考えるのではなく、まず「頭が動いて自分全体がついて来ること」をお願いしながら座ると、頭と脊椎、骨盤の関係性は演奏に適したものになります。
すでに座った形でいて、姿勢を直したいなら、その時もまず「頭から動いて自分全部がついて来ること」をお願いしながら行きたい方向へ動いていく。
自分全体を協調して使えていると、不思議と何をするにも上手く行くものです。どうして上手く行くのかなどという事は考えなくても良いくらいに…。