先日、キャシー・マデン先生のオンラインレッスンを受けた時のこと。
まずはキャシーに最近気になっている事を質問してみました。
Q.「どんな時も全体性が大切」とキャシーが仰るので、最近私の練習方法がアップデートされて来ています。前回は、部分的に気になる箇所があっても全体を失わずに練習する方法を教えていただいて、そのやり方で取り組んだら非常に上手く行きました。
その上で今、気になっているのは、全体性と精密さとの関係です。全体性を大切にしながら、最初から精密さを追求するのはやはり少し難しいような気がしていますが、そういうものなのでしょうか?
A. 全体性(Wholeness)はプライマリー・コントロール(初めから人が持っている調整作用)に根ざしています。
だからwhole(全体)でありながら細かく見られるのです。
キャシーに二胡を演奏するのを実際に見ていただきました。
出だしは、前回のレッスンで提案していただいたイメージを使って練習を重ねて来たので、速くなって行く箇所でも全体性を失わずに弾くことが出来ました。
後半で左手の指を色んな順番で動かす必要のある所に来ると、複雑な動きに左指がついて行けなくなって音の滑舌が悪くなりました。
これをなんとか流れに乗ったままクリアに弾きたいのですが…。
すると、キャシーが教えてくれたのは、その辺りに差し掛かる時に、わずかに顎を固めていたということでした。
「ここは難しいから頑張らなくっちゃ!」と思っているのが顎を固めるという形で身体に表れていたのですね。
心の動きは身体の動きに表れます。
アレクサンダーテクニークにおける観察は「全観察」と言われます。中でもキャシーの全観察はいつも凄すぎて、どんな微細な動きも見逃しません。
初めてキャシーのレッスンを受けた時は、何でもお見透し過ぎて、この人は魔女か超能力者なのではないかという脅威すら覚えたものです。
でも、それは彼女の徹底した全観察がなせる技なのだと理解出来るようになりました。
その後、自分がやっていた事を理解してから、新しく方向性を思いながらもう一度演奏したら、指の動きが前よりも良くなりました。
キャシーは、演奏前に笑ってから弾くと良いわよ、と言って笑わせてくれました。
笑ってから弾くと、さらに顎が緩んだのか、指が動きやすくなりました。面白いですね。
キャシーにわずかな顎の動きを指摘してもらった事で、自分が「がんばろう」と思っている時に、知らずに何をしていたかに気付かせていただく事が出来ました。「がんばる」=「力み」に繋がっていたのですね。
力まなくてもやりたい事を実現出来るとしたら、そしてそちらの方がずっと少ない労力で達成出来るとしたら、そちらを選びたいですよね。